接待の場として利用されることも多い寿司屋。
鮮度の良い魚と上質な酒は相手の気持ちを和らげ、ビジネスを良い方向に導いてくれる手助けとなるでしょう。
ですが、寿司屋には独自のマナーがあるため、接待として利用する場合には注意が必要です。
マナー違反は相手や周囲に不快な思いをさせるだけでなく、ビジネスチャンスを逃すことにも繋がりかねません。
本記事では接待の場として寿司屋を利用する際に知っておきたいマナーについて、詳しく解説しています。ビジネスパーソンの方はぜひ参考にしてください。
接待に必要な「寿司屋」でのビジネスマナー
接待の場として利用する際には、食べ方だけでなくビジネスとしてのマナーも身に着けておく必要があります。
プライベートとは違う部分での気遣いや準備が必要となるため、接待前に必ず確認しておきましょう。
基本のビジネスマナー
まずは接待当日までに準備しておきたい、基本のビジネスマナーを紹介します。
- 事前に予約をしておく
- 匂いが強いものを避ける
- 華美な服装は避ける
- 手元のアクセサリーは外す
これらのルールを守らないと、接待相手や店員、周囲の客を不快にさせてしまう可能性があります。せっかくの接待が台無しになってしまったらいやですよね。
そこで、以下に各ポイントを詳しくまとめてみました。接待を成功させたい方は、ぜひご一読ください。
事前に予約をしておく
接待で利用するお店には必ず事前予約を入れておきましょう。
これは、臨時休業や席数が足りず店舗に入れないなどのトラブルを防ぐためです。
接待で利用するような高級店の場合、カウンター席のみというケースも少なくありません。
事前に店舗へ連絡を入れ、利用時間と人数を伝えて席を確保しておくと安心です。
また、時価など料金が不明瞭な場合もあるため、予約時に予算を伝えておくのもおすすめです。
匂いが強いものを避ける
香水や制汗剤など、匂いがするものをつけて寿司屋に行くのはマナー違反のため注意してください。
なぜなら寿司は非常に繊細な食べ物であり、ネタの味わいだけでなく鼻に抜ける香りも美味しさを引き出す要素だからです。
汗の臭いが気になる場合には無香性の制汗剤を使用するなど、匂いをなるべく薄くするよう工夫しましょう。
また、自分では気がつきにくいのが衣類についた洗剤や柔軟剤の香りです。
アロマタイプの柔軟剤等を使用している方は、同僚や上司に匂いが残っていないか確認してもらいましょう。
華美な服装は避ける
露出が多い服や柄物のシャツなど、華美な服装は接待の場にふさわしくありません。
とくに高級店は落ち着いた雰囲気が魅力の一つでもあるため、その雰囲気を損なうような恰好は避けるべきです。
男性ならダークネイビーのスーツ、女性なら肌の露出が少ない落ち着いた色合いのオフィスカジュアルがおすすめ。
髪の毛が長い場合は、カウンターや醤油などに触れないよう束ねておきましょう。
手元のアクセサリーは外す
店舗についたら腕時計・ブレスレッド・指輪など、手元に身に着けているアクセサリーは外してください。
カウンターには、柔らかく傷がつきやすいヒノキやスギなどが多く使われているのが理由です。一枚板を使用しているケースも多いため、傷つけないよう注意しましょう。
外したアクセサリー類はテーブルに置かず、スーツのポケットや鞄にしまっておけば傷つけたり忘れたりする心配がありません。
店舗でのビジネスマナー
食事を開始してからは、以下6つのマナーを意識しましょう。。
- 接待相手に食べ方を合わせる
- 会話の内容に注意する
- 淡白な味のネタから頼む
- 醤油はネタにつける
- 一口で食べきる
- 出された寿司はすぐに食べる
一般的なビジネスマナーだけではなく、寿司屋ならではのルールもあるため注意が必要です。
店舗での各マナーについても詳しく解説していくので、参考にしてください。
接待相手に食べ方を合わせる
料理は箸と手、どちらで食べても構いません。
接待相手がどちらを使用するか確認してから、自分も同じ方法で食べるようにしましょう。
ただし寿司を手で食べる場合でも、ガリだけは箸を使用するのがルールです。
会話の内容に注意する
カウンター席では自分たちの声が周囲にも聞こえてしまうため、会話の内容に注意してください。
会社の内部事情や取引の詳細など、悪用の恐れがある話題は避けましょう。
商談も含めた接待で利用する場合には、個室のあるお店が適しています。
ただしカウンターは隣り合って座るため、相手と自然に距離が近くなり親近感を与えられるというメリットもあります。
懇親を目的とした接待であれば、カウンター席タイプの寿司屋を選ぶのもおすすめです。
カウンター席の上座は大将の前
上座は一般的に出入口から一番遠い場所が当てられますが、カウンター席の場合は大将の前が上座になります。
その場で最も目上の人は大将の前、次の人を上座の隣(出入り口から遠い方)の席に案内しましょう。
テーブル席の場合は通常通り一番奥が上座となるため、店舗のレイアウトに合わせて案内する位置を変えてください。
味が淡白なものから注文する
何を食べるか悩んだら、タイやヒラメなどの味が淡白なものから注文するのがおすすめ。
最初にさっぱりしたものから食べることで、次のネタの味が存分に味わえます。
ただし食べる順番にルールはないため、基本的には自由に注文して構いません。
とはいえ接待の場となると気ままにオーダーするのも難しいもの。
相手が「自由に頼みたい」というタイプでなければ、コースやアラカルトを事前予約しておくのも手です。
出された寿司はすぐに食べる
寿司は時間が経つとネタもシャリも乾いてしまい本来の味が損なわれるため、出されたらすぐに食べましょう。
接待に慣れているお店であれば、大将が絶妙なタイミングで商品を出してくれます。
会話が途切れない場合は、寿司が届いたタイミングで相手の意識を量に移すのがベスト。
「旬の○○ですね」「美しい盛り付けですね」など、自然な一言で相手の目を料理に向けましょう。
グラスの空きに気を配る
接待相手がお酒好きであれば、グラスの空き具合にも気を配りましょう。
残りが少なくなってきたら次の飲み物を尋ねます。
ドリンクメニューがある場合はそちらを一緒に渡してください。
寿司とお酒が自慢のお店であれば、大将におすすめを聞いてみる手もあります。
ただし相手が断ってきたら無理強いはせず、必要に応じてお茶やお冷を頼みましょう。
絶対にNG!寿司屋のマナー違反
寿司屋では、以下の行為はマナー違反に当たります。
- 醤油を大量につける
- ネタとシャリを分ける
- 一貫を噛み切る(箸で切る)
- ゲタを手元に寄せる
- 符丁(アガリ・ムラサキなど)の言葉は使わない
無意識でやってしまいがちな行為もあるため、普段から上記のような言動をしている方は要注意です。
マナーが悪いと自分だけでなく接待相手にも恥をかかせてしまうため、品の良い立ち振る舞いを意識しましょう。
接待に最適な寿司屋の選び方
接待に利用する寿司屋選びに悩んだら、以下のいずれかの特徴を持つお店を探してみてください。
- 高級感がある
- 個室がある
- コース・アラカルトメニューがある
- お酒の取り扱いがある
- 時間に制限がない(ゆったりできる)
まずは利用できるエリア内で、上記の特徴を持つ寿司屋をいくつかピックアップします。
その中から、もてなす相手の性格や好みに合いそうなお店を選びましょう。
たとえば赤坂に本店を構える「鮨まつもと」は、ミシュランガイド一つ星を獲得している接待にピッタリな寿司屋です。
高級感溢れるデザイン、こだわりのネタとお酒、大将自慢の料理の数々は接待相手の心を掴むことでしょう。
完璧なビジネスマナーで接待を成功させよう
接待は飲食を楽しむだけでなく、相手との距離を縮めビジネスチャンスを掴むための大事な場です。
きちんとしたビジネスマナーを身につけておかなければ、せっかくのチャンスを不意にしてしまうかもしれません。
本記事で紹介した寿司屋でのマナーやルールも参考に、相手に好印象を与えられるような接待の場を設けてみてください。